Answer (回答)
スズメッキ被膜に鉛が含有してしまう要因としては、使用している薬品・補給水・陽極(スズ原板)などがあげられますが、特に注意が必要なのは陽極だと考えられます。
スズを精錬する場合、融点の低いスズは熱して溶かす事で融点の高い不純物を取り除くことができ、又、スズは揮発しにくい性質があり真空状態で約1000℃以上の熱を加える事で、鉛・亜鉛など揮発しやすい不純物などを取り除き精錬します。
この精錬されたスズにも純度のランクがあり、スズ純度の低いスズ原版(陽極)には鉛などの不純物の含有が多い為、スズ原板に含まれる鉛がメッキ液中にプラスイオンとして溶解される事でメッキ被膜に取り込まれ、結果として鉛を含有したスズメッキ被膜となる場合が考えられます。
RoHS規制の要求である鉛の含有量を1000ppmまでに抑える為には、陽極のスズ原板純度はフォーナイン(スズ純度99.99%)の物を使用する事が必須条件となります。
又、メッキ液の種類にも酸性浴とアルカリ性浴とがあり、酸性浴として、硫酸浴・ほうフッ化浴・スルホン酸浴(有機酸浴)、アルカリ性浴として、すず酸塩浴、ピロリン酸塩浴などがありますが、
硫酸浴以外のスズメッキ液には鉛が溶解し蓄積しやすい性質がある為、メッキ被膜中に鉛が含有しやすくなる傾向があり、メッキ浴種については硫酸浴を使用し処理する事を推奨します。
メッキ.comでは、各種スズメッキ浴を取り揃えており、車載用(HEV、PHEV)の重要コネクター部品や後処理で半田付けを行うコネクター端子等においてもRoHS対応品については硫酸浴をメインに対応しておりますが、納入先のRoHS適合率(合格率)100%の実績を継続中で取引先様からは好評価を得ております。
スズメッキのRoHS対応でお困りの場合には、メッキ.com担当者までお問い合わせください。