硫化水素などの硫黄系腐食ガスに対するめっき被膜の耐食性

世の中にある製品には多数の金属部品が使用されています。

これらの部品は腐食性ガスにより劣化し、製品性能を著しく低下させてしまいます。

 

金属を腐食させるガスにはいくつかの代表的なものがあります。

例えば、硫化水素ガスや亜硫酸ガス、亜硝酸ガス、塩素ガス、アンモニアガスなどがあります。

 

各種金属はそれぞれのガスに対して耐食性が高いものと、低いものが存在します。

腐食性ガスに対して正しく理解することで、製品の劣化を予防し、長期間の製品性能維持を図ることが出来ます。

今回は硫化水素ガスについてお話します。

 

硫化水素ガス

 

硫化水素は卵の腐った臭い(腐卵臭)として有名なガスで、

高濃度の硫化水素ガスは硫化水素ガス中毒となり、命の危機にさらされることもあります。

硫化水素ガスは地熱ガスや下水処理、生物分解などにより排出されます。

身近なところでは温泉で嗅ぐことが出来ます。

温泉では硫黄の臭いがすることがあると思います。

温泉の種類の中に硫黄泉というものがあり、この臭いの正体が硫化水素です。

 

先ほど、硫化水素は命の危機にさらされると書きましたが、

温泉においては環境省が硫化水素中毒事故防止の為のガイドラインを出しており、

しっかりとした管理をされていますので、ルールを守って温泉を楽しんでください。

 

硫化水素ガスに対する耐食性

 

硫化水素ガスは硫黄成分を含むガスで、硫黄に対しての耐食性が問われます。

硫黄系ガスに対して、金やスズは耐食性が優れています。

一方、銅や銀は耐食性に劣り、硫化してしまいます。

 

単一なメッキの耐食性は上記と同じで、金メッキやスズメッキは優れており、

銅メッキや銀メッキは劣っています。

 

例えば、梱包材として多用される段ボールには硫黄成分が含まれていることがあります。

箱内で保管している銅メッキや銀メッキ製品が、なぜか硫化しているということがあります。

これは段ボールから発生する硫黄系ガスにより腐食されてしまったことが原因です。

長期保管の際には注意が必要です。

 

硫化水素などの硫黄系ガスの対処法

 

硫黄系ガスの耐食性が劣っている金属に対して、耐食性の高い金属をメッキすることで、

製品性能を維持することができます。

例えば、銅製品はそのままでは硫黄ガスで硫化してしまいます。

その様な場合には、銅製品対して金メッキやスズメッキが施すことで硫化することを防ぐことが出来ます。

単一なメッキ金属の性能は、通常の金属と同等の性能を有しています。

 

まとめ

 

硫化水素ガスに対しては金メッキやスズメッキが優れており、

銅メッキや銀メッキは劣っています。

メッキでは母材金属が硫化水素ガスなどの腐食ガスに弱い素材であっても、

硫化水素ガスに強い異金属をメッキすることで、耐食性を高め製品性能の維持を図ることが出来ます。

メッキと腐食性ガスにつきましては、メッキ.comまでお問い合わせ下さい。

 

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