異種金属と電気化学的電位の関係を徹底解説!メッキの役割とは?
異種金属と電気化学的電位の基本
電気化学的電位とは
電気化学的電位とは、金属の電子移動を引き起こす力のことを指します。異種金属間で電気化学的電位の差(電位差)が存在すると、その差によってガルバニック腐食が引き起こされることがあります。
異種金属接触腐食のメカニズム
異種金属接触腐食であるガルバニック腐食は、異なる金属が接触している際に発生する電気化学的反応によって引き起こされる腐食現象です。異なる金属が接触することで電位差が生じ、これによりアノードとなる金属が腐食します。例えば、亜鉛と銅の組み合わせでは、亜鉛の方がアノードとして腐食が進みやすくなります。
このような腐食は電解質(水分や塩分など)の存在がその反応を促進します。
異種金属接触による腐食の影響
異種金属の組み合わせと腐食のリスク
異種金属の組み合わせが適切でない場合、腐食が発生するリスクが高まります。例えば、亜鉛とステンレス、亜鉛とニッケルなどの金属組み合わせでは電位差が大きく、腐食が進行しやすくなります。製品設計の際には、これらのリスクを考慮し、電気化学的電位の差を最小限に抑えることが重要です。
本記事の最下部では、製品設計に役立つ、異種金属組み合わせ影響が一目でわかる「異種金属間の電位表」を進呈中
メッキの基本とその役割
メッキの種類
メッキとは、基材となる金属の表面に別の金属の層を形成するプロセスのことを言います。その種類は多岐にわたります。特によく使用されるのは、電気メッキ、無電解メッキです。電気メッキは、電解液中で電流を流して金属イオンを基材に析出させる方法です。無電解メッキは、化学薬品の反応を利用して金属イオンを析出させるものであり、複雑な形状の製品に対しても均一なメッキ層を形成できます。
メッキによる腐食防止効果
メッキの主な目的の一つは、基材となる金属の腐食を防止することです。例えば、亜鉛メッキは鉄鋼製品に多く使用されますが、亜鉛のイオン化傾向が鉄よりも高いため、亜鉛が優先的に腐食します。これにより、基材となる鉄鋼製品は守られます。
異種金属と組み合わせる場合、電気化学的電位の違いからガルバニック腐食が発生するリスクがありますが、メッキは、これを抑制することができます。製品の耐久性を高め、長期間にわたり安定した性能を維持するために、適切なメッキ技術は欠かせません。
異種金属接触腐食の防止方法
材料の選定
異種金属接触による電位差腐食を防止するためには、適切な材料の選定が重要です。異なる金属の組み合わせは電気化学的電位の差により腐食のリスクが高まるため、できるだけ電気化学的電位が近い金属同士を組み合わせることが推奨されます。例えば、ステンレスと亜鉛を直接接触させると、亜鉛がアノードとして腐食しやすくなります。この場合、ステンレス側を亜鉛と電位差の無い同じ材料に変更するか、別の電位差の小さい材料に変更することで、腐食リスクを低減することが出来ます。或いは、亜鉛側をステンレスの電位に近づけることでも効果があります。
本記事の最下部では、製品設計に役立つ、異種金属組み合わせ影響が一目でわかる「異種金属間の電位表」を進呈中
他のガルバニック腐食防止方法
ガルバニック腐食を避ける手段としては、同じ材料を使用することが一番です。同じ材料を使用すれば電位差が生じることはありません。しかし、異なる材料を使用しなければならない時には以下の手段が有効です。
- 電位差の少ない金属の組み合わせにする。電位差を低減することで、腐食のリスクを抑制することが出来ます。
- 金属間に絶縁を施す。絶縁体を異種金属の間に挿入することで、金属同士の直接的な接触を避け、電気化学的反応を防ぐことができます。これにより、製品の長寿命化が期待されます。
- 金属の一方、または両方にメッキを施し、電位差を無くす。または小さくする。
などが考えられます。
まとめ
本記事では、異種金属と電気化学的電位の関係について詳しく解説しました。異種金属接触腐食、ガルバニック腐食は、異なる種類の金属が接触することによって生じる腐食現象です。異種金属の組み合わせにより、腐食のリスクが大きく異なるため、その理解が重要です。メッキは異種金属接触腐食を防止するための有効な手段です。メッキによって金属表面に保護層を形成することで、電位差による腐食を抑えることができます。
腐食とメッキについて、詳しくはメッキ.comまでお問い合わせください。
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電位差を無くす為のメッキの活用方法について、具体的な金属を挙げて解説しています。