コネクタや接点端子における酸化と接触抵抗
接点端子には金メッキやニッケルメッキ、スズメッキなどによる表面処理を施すことで、
接触抵抗の増加を予防し、製品性能の長期維持を図ることが出来ます。
接触抵抗とは
抵抗とは電気の流れにくさのことであり、抵抗値は材質や電流が流れる部分の断面積、導通の距離、
接点や端子同士の接触状態などによって変化します。
接触抵抗とは抵抗の中でも接点や端子間など、導体同士の接続部分で発生する抵抗のことです。
接触抵抗の増加は発熱を引き起こし、場合によっては焼けこげ、火災に繋がることもある為、
注意が必要です。
接触抵抗が増加する要因
接触抵抗が増加する要因としてはいくつか考えられます。
・接触面積
・密着度合い
・接続部の酸化
接触面積
接続部接触面積の大きいほうが電流の流れが容易になり、接触抵抗を小さくすることが出来ます。
例えば、電池ボックスの接点端子に渦巻状のバネを使用したものと板バネを使用したものがあります。
これらの接触抵抗を考えた場合、板バネの方が接触面積として大きい為、結果的に接触抵抗が小さくなるようです。
密着度合い
接触抵抗は接続部の密着度合いによっても変化します。
密着度合いとは接続部の固定圧の強さのことで、
密着度合いが弱いと抵抗値が増加する原因になります。
接続部分の酸化
接触抵抗は接続部の材質によって変化しますが、その材質の表面状態によっても変化します。
接点や端子などの接続部に使用されている金属には、銅を初めとした金属が使用されています。
それぞれの金属には固有の体積抵抗値があります。
しかしながら、多くの金属は空気中の酸素によって酸化されます。
酸化が酷くなるとサビと呼ばれるものになります。
酸化によって抵抗値は上昇し、接触抵抗を増加させてしまいます。
(固有の体積抵抗値に関しては下記リンクをご覧ください。)
例えば、体積抵抗値に優れた銅はコネクタや接点端子などに幅広く利用されています。
しかしながら、酸化し易い金属でもあります。
体積抵抗値は
Cu : 1.7×10^-8 (Ω・m)
Cu2O : 10^6~10^7 (Ω・m) とされています。
引用 http://avctnegy.cocolog-nifty.com/blog/files/Cu2onohiteikou.pdf
銅と酸化銅の体積抵抗値には大きな差があり、酸化銅の抵抗値は絶縁体の抵抗に近くなります。
抵抗値に優れた銅であっても、表面の抵抗値が絶縁体の抵抗値であれば、
その接続部からは電流を流すことができません。
表面抵抗値を増加させないようにするには、表面が錆びないように保護する必要があります。
表面を保護して抵抗の増加を防ぐ
材料に対して表面処理を施すことで予防することが出来ます。
例えば、金メッキは酸化しない為、接触抵抗が錆によって変化することはありません。
その他、コネクタや接点端子へのメッキとしてニッケルメッキやスズメッキが多く利用されています。
これらのメッキも耐食性に優れており、母材の保護に利用されています。
表面を保護することで、接触抵抗の増加を防ぐことが出来ます。
まとめ
メッキにより表面を保護することで接触抵抗の増加を抑え、製品性能の長期維持を図ることが出来ます。
メッキ.comでは多種多様なコネクタや接点端子などのメッキを行っています。
メッキと抵抗値につきましては、メッキ.comまでお問い合わせください。